少女終末旅行

制作年:2017年 ◊ 原作:つくみず(新潮社「くらげバンチ」連載)◊ 監督:尾崎隆晴 ◊ 音楽:末廣健一郎 ◊ 制作:WHITE FOX ◊ ©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

救いの無い深刻な話を成立させる方法。2017年のベスト1!!

「少女終末旅行」の登場人物は、チトとユーリの女の子二人だけ。ほんの数話だけ、カメラをくれたカナザワと、一人で飛行機を作っている女性研究者のイシイというと人物が登場するだけです。その他の生き物もちょっとだけ。

冒頭から真っ暗なトンネルの中を、「カタカタ」と進んで行く話から始まります。まさに終末、世界は既に滅んでしまっていて、わずかな生き残りらしいチトとユーリが、燃料や食料を集めながら、あての無い旅を続けます。

ケッテンクラート

タミヤ/ドイツ陸軍 ケッテンクラート プラモデル

「カタカタ」と表現してしまうのは、彼女達の乗っている乗り物所以です。第二次世界大戦中のドイツに実在した半装軌車の「ケッテンクラート」です。オートバイの後輪をキャタピラ付きの荷台にしたような乗り物。階段も瓦礫もなんのその、どこへでも二人を運んで行きます。他のいくつかのアニメにも登場しているようですね。ドイツ語で。ケッテン=キャタピラ、クラート=オートバイの意味だそです。スピルバーグの映画『プライベートライアン』の最後の戦場場面で、何台か放置されていたのを覚えています。オートバイと戦車の合体、男の子の心を掴みますね。

©つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会

←このとぼけたキャラクタ設定で、このアニメを敬遠してしまう人もいたのではないかと思います。ですが、このなんとも幼げなキャラクタでなければこの話は成立しないのではと思っています。

食べ物は、戦闘糧食(レーションと言うらしいです。)、カロリーメイトみたいなやつです。最後のスープは初回のトンネルを抜けたところで食べてしまいました。いくつかの味があるレーションを食べながら、パッケージに記載されている「チーズ味」「チョコレート味」を見て、「チーズってなんだろうねえ。」「チョコレートって何だろうねえ」とつぶやく二人。文明は滅び去り、街を解体し続ける自動ロボット。意味の分からないトーテムポール状の遺物。カナザワからもらったカメラも「一体どれだけ写せるのかねえ。」と何もがはっきりしません。ただ上層を目指して進み、食べ物(レーション)と水と燃料に出会えたら確保する。もし、尽きてしまったら。。。

しみじみと、実は深刻で救いのない世界の話なのですが、ほのぼのとしたキャラクタととぼけた語り口でならでは、表現できるのであって、マジでシリアスな表現したら観たくないかもしれません。

オープニングからエンディング、テーマソングを含めて、アンニュイな世界感で統一されています。ただ、第1話には、オープニングもエンディングもありません。暗闇から淡々と始まって、最後は食べ物の取り合いから喧嘩になって、白い雪の風景の中に二人が倒れ込んで終わる。キャラとは裏腹にドラマ感があって、凄い作品だなあと感じました。

二話から登場するエンディングアニメは、手書き風アニメ(手で書いているのでしょうからあたりまえですが。)で、原作コミック作者のつくみず氏の作とのこと。これいいです。実は個人的な掟破り(原作好きならアニメは観ない。アニメが好きなら原作読まない。)で、つい原作コミックを読んでしまいました。期待に違わず原作コミックもいいです。

全11話の1話毎に、2〜3話のショートストーリーで構成されていますが、最終回のオチはちょっともったいないかな。と思いました。もっと永遠にこの旅は続けて欲しかったです。あくまで個人的趣味ですが、2017年に観たアニメの中でダントツのNo.1としています。
END。

■「少女終末旅行」を配信している動画配信サービス(2018年7月現在)

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